開発の鉄人「多喜義彦」氏から、「現実を打開するための着眼」を学ぶ。
数年前に、開発の鉄人・多喜義彦さんの、公開コンサルティングに参加したことがあります。
すでに著作は読んでいましたが、ご本人の語り口や立ち居振る舞いを目の当たりにすると、印象が全く違いましたね。
システム・インテグレーション株式会社 – 新事業開発、新商品開発、ビジネスモデル、知材活用のコンサルタント
さて、公開コンサルティングですが、
クライアント企業からの相談へ何と回答するか?
事前打ち合わせなしとのことです。
ハラハラ、ドキドキというより、内心は「お手並み拝見」と、高みの見物に近かったことを覚えています。
しかし、やはり40年のキャリアは本物でした。
レアメタル加工技術をもつ、社員10名にも満たない会社に対して、
「量産品を追わず、試作を売り物にする」
提案が出されたんです。
説得力があるのは、そこに数字が入ることです。
ものづくりでは、数が少なければ少ないほど価値が高い。
という前提を示して、従来より付加価値の高い現在の有力製品であっても、
単価が15000円なら、もし試作対応すれば、単価30万円でもお客さんは買う。」
と断言されていましたね。
ただし、30万円払ってもよいのは、その試作品の品質ではなく、納期なんです。
超速対応でなければならないというのです。
業界標準の半分は序の口で、
翌日、即日対応
を目指すべきだというのです。
超速対応のためには、「必死で作れ」というのです。
時間はお金では買えない、ということが重要な認識です。
試作ビジネスを実現するためには、様々な工夫が必要でしょう。
しかし、より大切なことは「着眼」です。
現実に妥協するよりも、「現実を打開するための着眼」です。
技術開発はもちろん重要ですが、技術の使い方も、また重要です。
「じゃあどうすれば、うまく技術が使えるようになるんですか?」
って聞きたくなりますよね。
そう、それそれ、
それこそが品質工学なんですよ。